対策書の書き方(発生対策)
⑨ 発生対策
発生対策は原因さえ明確であれば容易かと思います。
真因を除去する事で対策になります。
根本的な原因(なぜなぜ分析の5回目)を取り除くまとめ方になっているか、確認しましょう。
稀に、原因と対策が全然違う事を説明していたり、表面的な原因(なぜなぜ分析の1回目や2回目)に対する対策でまとめている事がありますが、「根本的な対策じゃないよね?」と再提出要求されますので気を付けましょう。
■ 先ずはポカ除けを徹底して対策
先ず考える事は、教育や監視などで対策を徹底する事でなく、ポカ除けや原因となる物を使用しない、物理的に発生を防ぐ方法です。
物理的に防げれば、客は一発で納得します。
そこは時間を掛けて考えてください。
例えば、条件設定のミスであれば、どの様にして設定間違いを防ぐのか、条件外で作業を行うとアラームが鳴るなど。
トレー内の異物が原因であれば、異物発生元を断つ事はもちろん、トレーを使用しない事も一つのアイデアです。
この様に、物理的に「原因を無くす」、または「その作業を出来なくする」事を第一に考えます。
■ 物理的な対策が不可能な場合はやむを得ず指導で対策
物理的な対策をとる事が不可能な場合には、やむを得ず指導による徹底となります。
指示書改定、重要作業の明確化、禁止作業の明確化、指差し確認、作業時の確認と記録、設備への掲示、リーダーによる作業前の再確認、などが挙げられます。
指導や指示書による改善は、厳しい客であれば半信半疑で対策書を受け取ると考えてください。
とくに、発生原因が「指示書を守らなかった事により発生」とした場合、対策で「分かり易く指示書を改定」としても、「元々見てない書類なんだから、分かり易く書いても見ないんじゃないですか?」と言われてしまうだけです。
この場合は、なぜ指示書を守らなかったのか、指示書はあったのか、無かったのか、あって見てなかったのか、あったのになぜ見てなかったのか、(見る習慣が無いなら、作業前に全員で読み上げるなど。)、あって見てたけど内容理解できなかったのか。
単純に「指示書を守らなかった」だけでも掘り下げればたくさんあります。
少しくらい掘り下げて、その内容に対して対策しなければ、簡単に突っ込まれてしまいます。
やはり、発生対策でツッコミが入らない様にするのであれば、発生原因をどこまで掘り下げる事ができるかに掛かっているかと思います。
あと、どの様な内容でも、指導を行ったら指導記録を作成し、証拠として提出する様にしましょう。
■ 具体的対策の一例
例えば、発生原因のページで例を挙げた「変更されたのに、変更前品が納入された」ケースを考えてみます。
この「なぜなぜ分析」の真因は「変更後治具が手元に無かったので、差し替え完了と判断してしまった」事が真因です。
(なぜなぜ分析の6回目)
「変更後治具だけ渡して、変更前治具を回収していない状況」に対して対策を打たなければなりませんので、「技術担当は先ず変更前治具の回収を行い、回収済みの記録を付けた後に変更後の治具を配布する。」などが良いでしょう。
これでも、規定の変更であり「物理的に不可能となる対策」ではありませんので、内容としてはちょっと弱いかもしれません。
このケースで、例えば「なぜなぜ分析」の2回目「変更前治工具が製造ラインに置いてあった為」に対する対策をまとめても、根本的な原因を除去する対策とはみなされません。
このケースだと、「変更前治具は製造ラインに置かないようにします。」とか「変更前治具はライン内の”変更前治具置き場”に識別管理します。」なんて説明では、根本的な対策にはなりませんよね。
根本的な問題は、技術担当の新旧治具の差し替え問題なのですから。
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2019/02/06