対策書作成の技術

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作業標準を守れ!工場長発言の不足点

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作業手順が守られなかった事による不良で、客先クレームが発生しました。

翌朝お怒りの工場長。

朝礼で関係者全員を集めてお説教です。

「作業標準を守れ!分かっているだろ!」

と何回も繰り返します。

当然です。

そこから不良が発生したんですから、しっかりと守ってもらわないと品質部署が泣きます。

でも、大丈夫でしょうか?

負担を掛けていないでしょうか?

作業標準は製造業では絶対

標準を守る事は製造業の一丁目一番地。

ここが揺らげば全ての仕組み、書類が無意味になります。

当然しっかりと抑えなければならないポイントです。

耳にタコができるくらい、毎日毎日言い続ける必要があります。

「作業標準なんてISOでうるさいからやってるだけ」

とか、

「こんなの守らなくてもいいって」

とか、

「客が来るからちゃんとやれ」

とか、目的を見失ってしまっては困ります。

その上で重要な事

この世の全ての物事には理由があるはずです。

認識しているかしていないかは別として、「理由(原因)⇒結果」の因果関係があります。

工場長にはもう一歩踏み込んで欲しかった。

作業者へ必ず守れと指示する傍ら、課長や係長へ守れない理由の調査を指示して欲しかった。

なぜ日頃から作業を見ていないのか、その点を監督者へ問い正して欲しかった。

課長や係長に根本的な原因を追求する能力があるかは人による所ですが、大切なのはそこです。

人の怠慢だけが作業標準を守らない原因ではないと考えています。

「標準を守らない=作業者が悪い」

と単純に結論付けてしまっては、一生懸命やっている作業者にも申し訳ないでしょう。

作業標準が守られない理由

もし作業者の怠慢以外に作業標準が守られない理由があった場合、別の作業者になっても守る事は難しいかもしれません。

という事で、作業標準が守られない理由を考えてみました。

理由1、作業者の怠慢

「作業者の怠慢以外に」と言っているにも関わらず、先ずは理由の一番目に作業者の怠慢を持ってきました。

現実的にそういう事例もあるでしょうから。

作業者にやる気が無く、指導しても一向に改善の余地が無い。

贔屓目に見ても、下に記述する何れの理由にも当てはまらず、明らかに作業者自身の問題である場合。

人事部署とも連携し、態度が改善されない場合には警告書を出す等会社として対処しましょう。

当然、しっかりと指導を行って改善させるように努力する事が先ですが、それでも改める気が無い場合には毅然とした処置が必要です。

理由2、作業者の能力不足

例えれば、手先が不器用な人に細かい作業をさせている場合もあるかもしれません。

どれだけ指導しても改善は難しいでしょうから、適切な作業へ転換してあげる必要ありです。

また、不慣れな為ってのもあるかもしれません。

慣れるまで作業に付かせないのが本来の姿ですよね。

理由3、作業者の理解不足

全く何も知らない人には、基礎から教えないと理解不足になります。

作業の内容を理解していない人が、標準を守れるはずがありません。

理解していない作業者が悪いのか、理解できるように説明しない指導者が悪いのか。

理解度のテストとか、ちゃんとしていますか?

作業ミスでトラぶって、問題を抱えるのは管理者自身ですよ。

自分に降りかかってくる内容だから、理解できるまで基礎からちゃんと教えるようにしましょう。

理由4、作業が複雑

作業自体が複雑で覚えにくいのかもしれません。

管理者のあなたにとっては、「覚えりゃ簡単」と思っているかもしれませんが、あなたが作業するわけではありません。

作業者までレベルを落として考えましょう。

もっと簡単な作業にできないか、作業を分けることができないか。

これを考えるのも管理者の仕事です。

理由5、作業の負担が大きい

例えば外観検査で、本来であれば外観だけ見れば良いはずなのに、バリの修正、ゲージでの確認、梱包をやらせていたとします。

作業量が多いから集中できずに手順を飛ばしてしまう可能性も多々あります。

一日何千個検査していれば、一個くらい手順間違いありそうですよね。

5人検査員がいたら、一人は手順間違いしてもおかしくないですよね。

作業者にも高いスキルを持つ人と、何年継続してもスキルが上がらない人がいます。

人が集まっているんだから、色々な人がいて当然です。

負担が掛かるとミスしやすいので、作業の負担を減らせないか考えましょう。

理由6、作業標準書(手順書)が悪い

例えば、必要な内容が記入されていない。

または、本来やらなくてもよいことが書かれている。

形だけ準備してあるだけなので、作業者がわからなくなった時に確認できない。

管理者が作業標準書を「形だけの書類」と捉えると、そのとたん書類の中身が無意味になります。

当然作業者も作業標準書を「形だけ」の「無意味な紙切れ」と捉えます。

実際に使える書類として、実際の作業に沿った内容であるかの見直しをしましょう。

理由7、監督者が見ていない

作業者はわかったつもりで作業をしていても、間違った作業である可能性は高い。

「うっかり間違ってしまいました。」

「急いでたから手順飛ばしちゃった。」

「他の作業者にやらなくていいって言われた」

など、いろいろな原因で標準の作業から反れていく事があります。

それをいち早く見つけて修正させるのは監督者の役割です。

作業を続けていると、作業者は自分のやりやすい方法にアレンジしがちです。

禁止作業として明確に説明をして表示されていれば別かもしれませんが、細かい事まで全て説明する事は難しいでしょう。

このような「やりやすい方法への勝手なアレンジ」って、一回や二回注意したくらいでは直らない事も多い。

ちゃんとできているように見えても、作業者はロボットではありませんからだんだんと変わっていくものです。

出来ていると思っても、根気よく毎日毎日確認するようにしなければなりません。

総合的に守らせるには

総合的にまとめると、作業標準を守らせる為に監督者や責任者ができるのは、次のような事になります。

1、可能な限り作業者の負担を減らす作業を考える
2、必要事項を過不足無く網羅した作業標準書の準備
3、作業標準書の内容や手順を記憶できているかの確認
4、監督者の日常の監視
5、管理職の抜き取り確認

これにプラスして、作業標準の重要性を理解する事と、作業標準を守れと耳にタコができるくらい連呼する事です。

この5つが揃って作業が守られるようになると思います。

全工程で一気に実施するのは無理なので、重要な工程から始めるようにしましょう。

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